SSOTとは?
SSOT(信頼できる唯一の情報源)の解説
CFOの70%近くは、チームが業務データをより効果的に活用してビジネスの知見を引き出す必要があると考えています。しかし、多くの企業が、複数のデータソースの整理、チーム間の協調の欠如、データの精度の低さ、データのアクセシビリティの悪さなどのデータ関連の問題で苦労しています。
データから価値を引き出すために、多くの企業に必要不可欠なことは、すべてのステークホルダーが同じデータを使用し、意思決定を行うことです。それには、SSOT(信頼できる唯一の情報源)を使用していることを確認する必要があります。これによって意思決定者は、保有しているデータと、最適化されたデータ戦略を実現する上での障害について、より明確に把握できます。さらには、ビジネスデータ戦略の合理化に役立つように設計された、クラウドソリューションなどのツールとサービスを選択できます。これで、真のSSOT実装プロセスを開始できます。
SSOT(信頼できる唯一の情報源)とは?
SSOT: Single Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)とは、組織内の全員が同じデータに基づいてビジネスの意思決定を行うことを保証するために使用される概念です。SSOT(信頼できる唯一の情報源)を作成するのは単純です。SSOTを活用するには、必要なデータポイントを保存する1つのソースに適切な人材を配置する必要があります。
データ駆動型(データドリブン)の意思決定によって、データの収集と分析の重要性がかつてないほど高まっています。今日、競争力のあるブランドにはデータを生かしたビジネスインテリジェンスに基づいて行動することが不可欠です。しかし、多くの企業は、常に複数のデータソースがあり、どの数字が正しいかといった議論に多くの時間を費やしています。たとえば、ソーシャルプラットフォームの指標がターゲット顧客の特定の側面を示す一方で、ベンダーからのフィードバックやオンラインアンケートがまったく異なる側面を提示することがあります。そのようなシナリオで、使用すべきデータポイントをどのように決定するべきかという問題が生じる可能性があります。
この問題は、SSOT(信頼できる唯一の情報源)を確立することで解消されます。多くの競合するデータソースのどれを意思決定に使用するかを議論する代わりに、誰もがすべてのデータニーズに単一の統一されたソースを使用できます。これによって、誰が使うか、どのように使うかを問わず、組織全体で使用できるデータが提供されます。
SSOTの仕組み
Clarivate社は、医療アナリティクス/データ/知見の商品・サービスを提供する大手企業であり、世界有数の製薬企業やバイオテクノロジー/医療テクノロジー企業を顧客としています。医療市場は、新しいテクノロジー、研究、規制が絶えず導入されています。そのような中、データは医療のアプローチに変革をもたらすと期待されています。しかし、ソースが増加し、そこから得られる処理対象データが増加する状況に対応する必要があります。
したがって、医療アナリティクス業界のマーケットリーダーであり続け、顧客からのますます具体的な要求に応えるために、Clarivate社は多数のデータソースを整理/結合し、情報をより迅速に分析し、複数のチャネルを介してより知見に富んだ分析を提供する必要がありました。
Clarivate社のCTO、Sven Junkergard氏は次のように述べています。「競合他社よりも優れたパフォーマンスを実現するには、ペタバイト単位のデータを管理し、知見を引き出す必要があることを認識しました。このデータには、当社が所有/作成する研究データ、つまり、何百万もの電子医療記録[EHR]、医療費請求および医療記録からの「現実のデータ」、および顧客から得たデータが含まれます。既存のITインフラストラクチャは、これほどの量のビッグデータを処理するためにスケールアップできません。このため、Real World Data Platformと呼ばれるものの作成に着手しました」
Clarivate社は、新しいReal World Data Platformの基盤として、TalendとSnowflakeクラウドデータウェアハウスを選択し、Talendプロフェッショナルサービスと連携してクラウドソリューションを実装しました。同社の新しいプラットフォームの主要コンポーネントには、他にもAWS S3、高度な機械学習用のSpark、Apache Parquetフォーマット、分析用のTableauが含まれます。これにより、同社はニーズに合致したプラットフォームを構築できました。
Junkergard氏によると、TalendはDRG社がデータ向けに万全の態勢を整え、全社の部門にSSOT(信頼できる唯一の情報源)を構築するのに役立っています。同氏は、「当社のデータプラットフォームにより、他のソリューションより少ないオーバーヘッド投資で非常に高い成長率をサポートできています」とも語っています。また、DRG社のITスタッフが多くのユーザーに迅速に応答できるようになったことで、製品やサービスの市場投入が加速していると述べています。
SSOTのメリット
SSOTで実行されるデータ/ビジネスインテリジェンス用の堅牢なインフラストラクチャには、次のメリットがあります。
- データの重複エントリを排除する
- 意思決定者に適切なデータを適切なタイミングで提供する
- どの記録データが正しいかを特定するのにかかる時間を大幅に短縮する
- 企業のデータインテリジェンス機能を反復的に改善する
より迅速でタイムリーな意思決定により、企業は受け入れられたデータポイントに基づいて新しい戦略を実施しやすくなります
SSOTの障害を克服する方法
SSOTの実装には、次のような障害があります。
- 参加者の支持を得る
- 高品質のデータを収集する
- データが実際に何であるかを見るのではなく、データが何を意味するかを把握する
SSOTの実装の支持を得るための最初のステップは、上級ビジネスリーダーと協力して、どの情報源を使用するのが最適かを見極めることです。これには時間がかかる場合がありますが、討議と投票の後に合意に達することができます。これが完了すると、そのソースに高品質のデータを取得することがすべての問題になります。そのためには、以下を実行します。
- エグゼクティブのプレゼンテーションやニュースからのランダムデータポイントなど、特定の種類のデータを除外する
- 企業の公式ダッシュボードから抽出したデータのみをアナリティクスで使用できるようにする
- 社内の全員がアクセスできる単一のプラットフォームで、すべてのSSOTデータをフィルタリングして保存する
データが「何であるか」と、それが「何を意味しているか」は微妙に異なります。たとえば、「Webページの離脱率が高いこと」が、Webサイトの応答性が低いために改善が必要である場合も、Webページにアクセスしても適切なエンゲージメントが実現されないため、企業のメッセージ伝達を改善する必要がある場合もあります。つまり、「データ」という事実とその「データ」をなぜ得ることになったのか、分けて考える必要があるということです。
- 必要なデータにアクセスできる企業の従業員は、データを掘り下げて、明白なトレンドや統計上のポイント以上のことを理解できます
- 意思決定者が、セルフサービスデータなどのソリューションを使用して、企業のあらゆる業務領域のデータを収集、管理、分析できるようにすることで、背景ノイズから実際の問題を抽出し、リアルタイムの対応を積極的に実施できます。
最初のSSOTトライアルの実装
SSOTはどのように作成されるのでしょうか? SSOTを実装するために実行する必要がある手順は次のとおりです。
- 支持を得ます。上級ビジネスリーダーを集めて、各データソースのメリットとデメリットを検討し、SSOTパイロットを開始するための最適なソースを選択します。ソースを選択したら、技術チームに部門横断的に作業してもらい、誰がどのタイプのデータを必要としているかを特定します。
- 特定の許可レベルが必要か、既存のITインフラストラクチャが変更をサポートできるかを確認し、それに応じてIT計画を更新します。
- 必要な人にデータアクセスを提供する方法を明確に把握し、データポイントのセットを反復的に絞り込んでいき、特定業務のデータのベンチマークを設定します。
- 周到に定義された明確で追跡可能なデータソースを取得したら、全員が参加し、データアクセスの手順と要件を把握していることを確認します。
- 関連するすべてのビジネス担当者がそのデータに安全にアクセスできることを確認します。
- コンプライアンス要件を十分にチェックします。データの整理/アクセス方法を調整すると、コンプライアンスに抵触する可能性があります。コンプライアンスに準拠していることを確認するための二重、三重に要件をチェックします。
- 次のビジネス部門とデータタイプにプロセスを展開します。
TalendによるSSOTの促進
Talend Cloudには、企業が大規模にデータを整理できるようにするデータカタログなどのアプリケーションによって、SSOT(信頼できる唯一の情報源)をまとめる機能があります。これにより、容易にデータにアクセスできるようになり、企業はデータの課題に正面から取り組むことができます。Talend Cloudは、組織がSSOTの実装を加速するのに役立ちます。
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