ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)とは?/BIツールの説明
今日の意思決定者は、より大きなビジネス意思決定をこれまで以上に迅速かつ正確に下す必要があります。適切な戦略とBIツールを利用することで、迅速かつ正確なデータ駆動型の意思決定を実現できます。
ビジネスインテリジェンス(BI)とは
ビジネスインテリジェンス(Business Intelligence)とは、「BI」とも呼ばれ、データドリブンのビジネス意思決定を行うために使用されるプロセス、テクノロジー、スキル、アプリケーションの総称を指します。BIは、データ収集、データ集約、分析、意思決定を容易にするための有意義な表現を含みます。
データ駆動型の組織は、さまざまなビジネスインテリジェンス(BI)ツールを使用してデータリポジトリー内の履歴/リアルタイムデータにアクセスし、クエリーの実行、カスタマイズされたレポートの生成、将来のトレンド予測に役立てています。これらのツールには、訓練されたデータサイエンティストが実行する高度なアナリティクスや、機械学習アルゴリズムによって自律的に生成される知見が含まれます。
BIアプリケーションのデータリポジトリには、データウェアハウス((集中型または分散型)、本番データベース、運用データストア、データマートがあります。
その他のリソース:
- ビジネスインテリジェンス(BI)を強化するデータプレパレーション
- ビジネス意思決定における統計の役割
- データ活用を高めるビジネスの構造とは
ビジネスインテリジェンス(BI)とビジネスアナリティクスの違い
ビジネスインテリジェンス(BI)は、しばしばビジネスアナリティクスと混同されます。ビジネスアナリティクス(BA)は、パフォーマンスを測定し、ビジネスプロセスを最適化するために使用される統計的手法を指します。
データアナリティクスは、データセットを分析して知見を得るプロセスです。データアナリティクスには2種類あります。
- 予測アナリティクス — 履歴データを分析して、最も可能性の高い結果を判断します。
- 処方的アナリティクス — 仮定のシナリオを実行して、特定のアクションについて可能性の高い結果を判断します。
データアナリティクスは、BIとBAの主要なコンポーネントですが、システム全体の一部にすぎません。
ビジネスアナリティクス(BA)はBIに類似していますが、異なる機能を持つ別のプロセスです。BAは、ビジネスの変更を推進するトレンドと知見を得るために履歴データをマイニングします。BIは、現時点での意思決定(効果があるかどうかを評価し、最善の方向性を決定する)を可能にするために、履歴データとリアルタイムデータを使用します。BIは主として今日のビジネス運営に役立ちますが、BAは主として将来起こることを予測するために使用されます。
ビジネスインテリジェンス(BI)の重要性とは?
ビッグデータの利用可能性が高まっているために、現代のビジネス意思決定がより重要なものになると同時に、より難しくなっています。エンタープライズデータウェアハウスには、テラバイト規模のローデータが含まれることもあり、それを処理して分析に使用できるように準備する必要があります。ビジネスインテリジェンス(BI)システムを使用すると、(場合によっては数分で)包括的にデータを分析して、特定のビジネス要求に対応できます。
たとえば、SKF社はグローバルな製造企業であるため、製品の市場規模や特定タイプの製品の需要を正確に予測する必要があります。
「どのような製品をどの程度の規模で生産すべきか、何に投資して何を売却すべきか、業界の新しいトレンドにどのように対応すべきか。このような課題の解決にTalendが役立っています」 — SKF社ビジネスインテリジェンス担当マネージャー、Fritz Ulrich Dettmer氏
F+W社は、イノベーションと創造性に注力するコンテンツ/Eコマース企業です。したがって、成功を評価して前進するために、チーム全体が必要なデータにアクセスできる必要があります。
「Talendによって、クラウドとオンプレミスのシステムを連動できるようになりました。これを全社的に活用して、これまでのように勘に頼るのではなく、一貫したデータに基づいて意思決定を下すようになっています」 — F+W社、ビジネスインテリジェンス担当VP、Greg Sitzman氏
ビジネスインテリジェンス(BI)には、次のようなメリットもあります。
- 解決策を得るまでの時間短縮 — クラウドベースのデータウェアハウスソリューションを使用したインメモリアナリティクスは、リアルタイムでデータを分析し、事実に基づく情報を数分で提供します。
- ビジネス意思決定の強化 — 事実を抽出し、データを実用的な情報に変えます。
- 業務効率の改善 — ビジネスのさまざまなコンポーネント間の相互のつながりが明確になるため、問題や非効率性を特定して迅速に対応できます。
- ROIの向上 — 目標に到達するために必要なリソースを特定し、データ分析を高速化して生産性を向上させ、新しい収益源の発見を支援します。
- 迅速なレポート作成 — 最新の正確なデータセットについてリアルタイムのレポートを作成し、複雑なビジネス問題の解決で卓越した力を発揮します。
- 正確な戦略 — データの重要なトレンドとパターンを特定するのに役立つので、優先順位の設定や目標達成に向けたリソースの割り当てに利用できます。
- 顧客の満足 — 中核的なビジネス機能を改善するKPI(製品やサービスの改善、市場投入までの時間短縮)に関するデータを提供し、CSAT(顧客満足度スコア)を高めます。
ビジネスインテリジェンス(BI)ツール とは
ビジネスインテリジェンス(BI)には、大きく分けて従来のBIとセルフサービスBIの2つのカテゴリーがあります。従来のBIは、クエリーを実行し、ガイド付きの分析を提供し、レポートを作成するITチームまたはデータスペシャリストによって扱われます。このアプローチの欠点は、レポートを作成するのに数週間またはそれ以上の長い時間がかかることです。
今日では、「セルフサービスのビジネスインテリジェンス(SSBI)」が大きな流れとなっています。セルフサービスのBIでは、統計分析のトレーニングを受けていないビジネス部門の専門家でも、PCにインストールされたインタラクティブなダッシュボードを使用して、クエリーを実行し、レポートを生成できます(アドホック分析)。このようなツールは、直感的で使いやすく、リアルタイムでのデータアクセスを提供します。
ビジネスインテリジェンス(BI)ツール:7つの主要機能
効率的なビジネスインテリジェンス(BI)には、適切なツールが必要です。異なるタイプのBIツールは、BIプロセス全体のさまざまな部分を実行し、異なる標準に従って機能します。スタンドアロンツールとして、または統合された製品スイートの一部として動作します。
- オンライン分析処理(OLAP) — ドリルダウン機能を使用して大量の履歴データを分析するために使用されるBIツールです。情報はOLAPキューブに格納され、データの多次元ビューを提供します。
- アドホック分析 — 特定の質問に答えるために、どのようなユーザーでもクエリーを実行してレポートを生成できるBIツールです。多くの場合に、OLAPの「ポイント&クリック」式ダッシュボードを使用します。
- レポート作成 — チャート、マップ、グラフなど、クエリーで抽出されたデータを視覚的に表現するBIツールです。BIレポートツールを使用する利点には、分析に使用されるレポートの速度、効率、精度の向上が含まれます。
- 高度なアナリティクス — 予測アナリティクスと処方的アナリティクスのモデルを構築する際にデータサイエンティストが使用するBIツールです。このような自律型/半自律型ツールは、将来の結果を予測して推奨する洗練された能力を備えています。
- 運用BI — 到着するデータをリアルタイムで処理し、意思決定のために情報に対する可視性と迅速なアクセスを提供するBIツールです。リアルタイムのデータと知見により、市場のトレンドやイベントに迅速に応答できます。
- オープンソースBI — 必要に応じて変更できるオープンソースコードで開発されたBIツールです。このようなツールは、通常はレポート機能と分析機能を備えた製品スイートの一部として提供されます。
- セルフサービスBI — 統計分析またはデータマイニングのトレーニングを必要としないBIツールです。セルフサービスシステムは、どのようなユーザーでもインタラクティブなダッシュボードを使用して、クエリーを実行し、レポートを作成し、知見を得ることができるように構成されています。
最善のビジネスインテリジェンス(BI)ツールを見つけるには
BIツールを選択するうえでの最初のステップは、アクセスするデータソースの種類(スキーマと定義)、そして必要とされる分析方法を理解することです。ほとんどのデータソースにはBIツールを使用して簡単にアクセスできます。しかし、アクセスできないタイプのデータが存在することがあります。クラウドネイティブのツールは、さまざまなデータリポジトリやデータウェアハウスに格納されたデータをサポートできなければなりません。
次のステップは、ビジネスの目標と期待される結果を定義することです。
- BIシステムの測定対象とするKPIを特定する。
- ツールの管理に必要とされるコストと技術的スキルを評価する。
- スタンドアロンのBIツール、オープンソースのBIツール、BIのツールスイートのどれが必要かを判断する。
適切なBIツール(1つまたは複数)を使用すると、要求を満たすために必要なソースや時間などの要素により、最も細かい部分にまで掘り下げてフィルタリングされた正確な回答を得ることができます。ツールは、質問に関連するデータのパターンを見つけ出して解決策を提案できる「示唆的なインテリジェンス」の能力(機械学習によって自動化)を有することが求められます。
近代的で堅牢なBIツールは、その他にも次のような重要な機能を持ちます。
- 視覚的なレポートを作成できる
- 進捗と個別のKPIを追跡する
- 表現に対応するグラフィックを作成する
- 使いやすく直感的なインターフェイスを持つ
- セキュリティが堅牢である
- モバイルアプリケーションを含む
- 作業タスクを自動的に優先付けする
- 問題を早期に特定する
- 自然言語インターフェイスを持つ
ビジネスインテリジェンス(BI)の例
ビジネスインテリジェンス(BI)は、理論だけにとどまらず、正しく実装されることで組織を変革できます。以下のような事例があります。
1. Lenovo社:リアルタイムBIの力
Lenovo社は世界最大のPCベンダーであり、売上460億ドル規模のパソコンメーカーです。構造化/非構造化データによる年間110億件以上のトランザクションを分析するリアルタイムBIをサポートする、弾力性のあるハイブリッドクラウドプラットフォームを構築しました。
新しいプラットフォームの成果:ThinkPadシリーズのノートパソコンの設置率が18%向上し、コンジョイント分析による小売単位あたりの売上が11%増加し、6か月で運用コストが100万ドル削減されました。
2. マクドナルド:データ駆動型BIによる顧客サービスの向上
マクドナルドでは、データ駆動型BIを使用して、ETL、ビッグデータ、データクオリティの新しいアプローチにより顧客サービスを向上させました。
成果:新しいハードウェアを購入する必要性が減りました。また、売上予測、適正レベルの人材配置、新入社員の採用のために、ビジネスクリティカルなレポートを迅速に生成できるようになりました。
3. MoneySuperMarket社:データ集約によるBIの改善
MoneySuperMarket(MSM)社は英国の大手価格比較サイトの運営企業です。MSM社はTalend Data ManagementでAmazon Web Servicesの機能を活用し、マーケティングビジネスインテリジェンスを提供するために複数のWebサービスからデータウェアハウスにデータを投入しました。
成果:顧客の購入経路を改善し、日常的メトリクスによるチャネルパフォーマンス予測を実現しました。また、アドホック分析をサポートする11テラバイトのデータに、データサイエンスを適用できるようになりました。
ビジネスインテリジェンス(BI)の未来:AIとクラウド
ビッグデータBIの未来はクラウドと人工知能です。今後は、本番データベースからデータを取得し、BIレポートのためにスプレッドシートにダンプすることは一般的でなくなっていきます。企業がクラウドに移行するのに伴って、BIシステムはクラウドネイティブBIアプリケーションにより自動化(知見の抽出、提案、データを視覚的に表現)されます。
今日では、データ駆動のニーズと情報の複雑さとデータの近代化に対応することが、企業のクラウド戦略の原動力となっています。CIOがクラウドコンピューティング情報テクノロジーを採用する理由のトップ3は、次のとおりです。
- 俊敏性と応答性を向上する。
- 製品の開発/イノベーションを加速する。
- コストを削減する。
クラウドコンピューティングは、自動化されたクラウドネイティブBIツールを使用する、BIとビッグデータ管理向けの新しいソリューションを提供します。2020年までに、データサイエンティストが実行するタスクの40%が自動化されると推定されています。
ビジネスインテリジェンス(BI)ツールの使用を開始する
ビジネスアナリストは、ビジネスニーズを満たすため、企業の巨大なデータストアから必要に応じて事実に基づく信頼できる情報を使用する必要があります。ビジネスインテリジェンスは、さまざまなプロセスやテクノロジーを活用して、データウェアハウスやデータマートに含まれる莫大なデータキャッシュにアクセスし、データを実用的な情報に変換します。
さらに多くの組織が、Talendを活用してビジネス意思決定にビッグデータを組み入れています。Talendの統合ツールは、競合他社に比べて5分の1のコスト、ハンドコーディングに比べて10倍の速度で、データ統合ジョブを開発/展開します。
Talendの無償のオープンソース統合ソフトウェアは、想像をはるかに超えるスピードで、すべてのデータを迅速に接続/変換し、分析用に準備します。それによりビジネスインテリジェンスを進めることができるのです。その詳細をご確認ください。